Kei-Netを使って入試が機能しているとは思えない大学,特に受験者数と合格者数がぴったり一致している学部・学科(入試倍率=1)をいくつか探してみました.
はじめに
平成30年度となり,受験生も親御さんも年末の大学入試に向けて日々がんばっていることと思います(親もたいへんなんですよ).
すでに受験先の大学を決めた人もいれば模試の成績などでこれから決める人もいると思います.
親からすれば,高い授業料を払って我が子を入れる大学なのですから,潰れそうな大学やFラン大学はなるべく避けてほしいところ.
ちなみにFランの語源は河合塾の入試難易度(ボーダーライン)の定義のうち,「不合格者が少ないため合格率50%となる偏差値帯が存在せず,ボーダーラインが設定できなかった場合,ボーダー・フリー(BF)としています」から来るとのこと.
河合塾の大学入試総合サイトKei-Netには,このBF大学は学部系統別ランキング表に記載されていないのです.
話を戻します.
潰れそうな大学について,2017年の大晦日にこんな記事が朝刊1面にでかでかと掲載されていました.
『私大112法人 経営難 18歳人口減が影響…私学事業団調査』(2017年12月13日読売新聞東京版朝刊1面).
私大・短大を運営する660法人のうち112法人が経営困難,内訳は2019年度末に破綻の恐れありが21法人,20年度以降は91法人.また,経営悪化の兆候がみられるのはこれら以外に175法人あるとのこと.
こういう記事のときは大学名もぜひ公表してほしいものですが,そこは一切記事に出てません.
大学の経営状況はHPをみただけでは把握できません.
親としてはまずそこを知りたいんですけどね.
それでは,ということでどの大学がFラン大学なのか調べる方法を紹介します.
筆者がよく利用するのは入試難易ランキング表|Kei-Netです.
要注意なのは,これはどう見ても入試が機能しているとは思えない大学.特に受験者数と合格者数がぴったり一致している学部・学科(入試倍率=1)です.
これもKei-Netで探すことができます.ではいくつかの大学の実態を見てみましょう.
Kei-NetでFラン大学を探す
各大学の受験者数と合格者数を探すのに使うのはKei-Netの過去の入試結果データ|Kei-Netです.これの良い点は,自分が受けようと思う学部だけじゃなく他の学部のデータも一緒に見ることができる,つまり大学の各学部の状況が一目でわかるところです.しかも入試種別に記載されているので,より細かく把握できるのです.
Kei-Net>大学入試情報>一般入試 入試結果とすすみます.
あとは受験するかもしれない大学があり地域から大学名を選択して一般入試の入試結果を見ます.
ここでは試しにここで1北海道から九州までの11の区分について,「学院大学」と名が付く各校について例示します.○○学院大学を選んだ理由は特にありません.良く耳にするからだけのことです.
受験生数=合格者数があまりに少ない場合は割愛しましたが,概ね40人前後もしくはかなり顕著なケースはスクリーンショットを貼りました.
○○学院大学で入試が機能していない(と思われる)大学
<北海道>
札幌学院大学→該当無し
<東北>
青森中央学院大学→該当無し
八戸学院大学→全学部学科の受験生が40名以下のため割愛
弘前学院大学→該当無し
尚絅学院大学→該当無し
東北学院大学→該当なし
宮城学院女子大学→該当なし
<関東(東京除く)>
筑波学院大学→該当なし
作新学院大学
→人数が少ないので割愛しようと思ったけれど掲載しておきます.
人間文化学部,経営学部ともに判を押したかのように受験者数と合格者数が一致していました.
三育学院大学→該当なし
中央学院大学→該当なし
関東学院大学→該当なし
東洋英和女学院大学→該当なし
フェリス女学院大学→該当なし(音楽学部演奏A日程のみ15人で一致)
<東京>
青山学院大学→該当無し
工学院大学→該当無し
國學院大學→該当無し
明治学院大学→該当無し
ルーテル学院大学→学生数が少ないので割愛
<甲信越>
山梨学院大学→割愛(政治行政Ⅱ期は受験生11人全入)
<北陸>
金沢学院大学→該当無し
北陸学院大学→人間総合学部社会学会第Ⅰ期41人全入
<東海>
中京学院大学→合格者データなし
中部学院大学
→教育学部子ども教育学科
東海学院大学
→各学科の人数は40人を下回っているけれど・・・
浜松学院大学→各日程だと人数が少ないので割愛
愛知学院大学→該当無し
金城学院大学→該当無し
名古屋学院大学→該当無し
<近畿>
びわこ学院大学→
平安女学院大学→該当無し
大阪学院大学→該当無し
大阪女学院大学→該当無し
太成学院大学→受験者数記載なし
帝塚山学院大学→該当無し
桃山学院大学→該当無し
神戸学院大学→該当無し
神戸女学院大学→該当無し
<中国>
岡山学院大学→人間生活学部食物栄養学科が志願者・受験者・合格者ともに7人.データに記載があるのはそれだけ.
広島国際学院大学
→判で押したかのようにほぼ一致
梅光学院大学→該当無し・・・だが限りなく近い
<四国>
四国学院大学→該当無し
<九州>
西南学院大学→該当無し
西南女学院大学→人文学部観光文化学科は前期、後期、A・B・C日程すべて志願者数・受験者数・合格者数が一致
聖マリア学院大学→該当無し
福岡女学院大学→該当無し
福岡女学院看護大学→該当無し
九州ルーテル学院大学→受験者数データ記載なし
沖縄キリスト教学院大学→人文学部英語コミュニケーション学科2018年度入試は受験者数・合格者数ともに12人.
おわりに
スクリーンショットを挙げた大学は,正直言って入試がほとんど機能していないのではないかと疑わざるを得ません.Kei-Netでは大学名+学部単位での検索機能はありますが,大学全体については今回紹介したように大学ごとに見るのが良いと思います.その大学の「見当を付ける」ために利用するのです.
もし受験しようと考えている大学の入試状況について疑問を持ったら,その大学の情報をもっと掘り下げてみましょう.
例えば中部学院大学の場合,HPをぱっと探しただけではわかりませんでしたが,HPの検索窓に「定員」と入れて検索したら学生数データが出てきました(https://www.chubu-gu.ac.jp/about/public_information/data/documents/student.pdf) .
それによると,教育学部1学年の収容定員80人に対し2017年の在学生数は1年生59人,2年生64人,3年生84名人,4年生70人,合計277人となっていました.当然1〜4年生全体の定員を割っています.学部全体でみた定員充足率は86.9%(1435/1650).この値で合っているなら私立大学等経常費補助金は4%減額になります(http://www.shigaku.go.jp/files/s_hojo25y-2.pdf、別表2より).
補助金が減額されれば大学経営に影響しないわけがありません.
【追記】中部学院大学の財務状況はHPのちょっとわかりにくいところにありました.財産目録によると法人の正味財産は平成29年3月31日現在15,338,197千円で,2012年度より増えています.それにもかかわらずなぜ定員割れしているのか?とむしろ疑問に思ってしまいました.
受験する側としては偏差値や入試状況(入試倍率1以下は敬遠したい)だけじゃなく,こういった情報も欲しいのです.でも,それは自分で取りに行かなければなりません.
ではまた.
なお,定員充足率は書籍等にあたれば入手できます.でも大学受験にはかなりの出費を強いられます.
なるべく出費を抑えるため,ネットで得られるデータを活用したいものです.
それでも蛍雪時代は買ってしまいました.うちの子が受験するの入試大変革直撃の2020年.いまから情報を仕入れておかねばならないのです.