日々過ごしていると本人が意識せずとも思いがけずたくさん出費している場合があります.この記事が,住宅ローンを組んでマンションを購入した世帯の家計を見直すきっかけになれば幸いです.
マンションと一戸建ての出費がこんなに違う!?
4月になり,新年度を新居で迎えた方がもたくさんいらっしゃることと思います.
住宅ローンを組んでえいやっlとご購入なさったのはマンションでしょうか?それとも一戸建て?
ところで,たまたま政府統計を眺めていたら,住宅ローンがある方でもマンションと戸建てではある費目の支出がかなり違っているのを見つけました.
それは,交際費.
日頃から食費や光熱費などに気を遣っている方が多いと思います.
でも,もしかしたら,特にマンションにお住まいの方は交際費が盲点になっているかもしれません.
さて,はたしてマンション住まいの交際費は一戸建て住まいとどれくらい違っているのでしょうか?
住宅ローンあり一戸建て・マンション住まいでの交際費の違い
マンションと一戸建ての交際費の違い(平均)
次の表は「平成26年全国消費実態調査・住宅ローンのある一戸建て及びマンション1世帯あたり1か月間の収入と支出」に記載されていた消費支出10費目です(住居費除く).
元データでは戸建て・共同住宅となっていたので,それぞれ一戸建て,マンションとしました.年間収入金額はA:マンション¥814万6000,B:一戸建て¥769万5000(A÷B=1.05)です.
費目 | A:マンション | B:一戸建て | A÷B |
---|---|---|---|
食料 | |||
光熱・水道 | |||
家具・家事用品 | |||
被服及び履物 | |||
保健医療 | |||
交通・通信 | |||
教育 | |||
教養娯楽 | |||
その他の消費支出 (交際費以外) |
|||
その他の消費支出 (交際費) |
表の一番下が交際費です.
なんと,マンション住まいでの交際費は一戸建ての2.28倍,1ヶ月¥16,515も多く出費していたのです.
他の費目の差は0.88から1.28倍の間に収まっています.交際費の違いだけがとても際立っているのがわかります.
一体全体,この差はどこから来るのでしょう?
もしかしたらこの傾向はマンション住まいの中でも高収入世帯の影響が大きいのでは,と推測しました.
では収入段階別での交際費の違いをみてみましょう
マンションと一戸建ての交際費の違い(収入別)
年間収入10段階別でのマンション住まいと一戸建て住まいでの交際費です.
筆者の推測はものの見事に外れていました.なんと収入400万円未満のマンション住まい交際費は一戸建て住まいの3倍になっていたのです.
年間収入 | A:マンション | B:一戸建て | A÷B |
---|---|---|---|
300万円未満 | |||
300〜400万円未満 | |||
400〜500万円未満 | |||
500〜600万円未満 | |||
600〜800万円未満 | |||
800〜1000万円未満 | |||
1000〜1250万円未満 | |||
1250〜1500万円未満 | |||
1500〜2000万円未満 | |||
2000万円以上 |
全収入区分でもマンション住まいの交際費は一戸建て住まいを上回り,うち7区分のマンション交際費が一戸建ての2倍以上でした.
なぜこれほどまでにマンション住まいと一戸建て住まいの交際費が乖離してるのでしょう?
ローン返済の王道は節約:交際費を見直そう
交際費はこう定義されています.
世帯が購入したもののうち,世帯以外の人のために贈答又は接待を目的として購入したもの(統計局ホームページ/平成26年全国消費実態調査 用語の解説)
例えば果物を買っても,それが贈答用なら交際費になります.統計局ホームページ/統計Today No.123によると,ようかん,まんじゅう,メロン,桃の購入額の約4割は贈答用,すなわち交際費としてカウントされてます.
問に戻ります.
なぜ住宅ローンがある方では,マンション住まいのほうが一戸建て住まいよりもこれら交際費の支出が多いのでしょう?
マンション住まいの交際費は終の棲家の必要経費?
住宅ローンを組んで購入したということは,そこが終の棲家になる可能性がとても高いことを意味します.マンションは,特に将来の修繕に備え管理組合等での連携が非常に重要です.
一方,戸建てでも基本的な近所付き合いはもちろん必要ですが,隣近所との関係は少なくともマンションよりは希薄と言って良いかと思います.マンションのような言わば運命共同体とまでの関係にはならず,それぞれの家主は一国一城の主なのですから.
もし,マンション住まいでの交際費がもっぱら隣近所に向けての支出なら,これは終の棲家を共にする必要経費と考えられます.そして,この経費がかかる範囲がある程度固定されていてしかも互酬性が高いなら,年収300万円未満だろうと400万円未満だろうと¥24,000〜¥25,000くらいかかる説明がつきます.
でもそうじゃなかったら筆者にはちょっと考えがおよびません.
ちなみにマンション・アパートの住人同士の交流は賃貸で2割なのに対し持ち家だと4割になります(http://suumo.jp/journal/2017/10/17/143255/).ただ,この違いがマンション住まいの高額な交際費を説明できるとは思えません.
なお,ローン無しマンション・一戸建て住まいでの交際費データは探した限りでは政府統計に見当たりませんでした.ご存知の方がいらっしゃいましたらお知らせいただけると嬉しいです.
ローン返済の王道は節約
住宅ローンを組んだらその後何年間もずっと待ちかまえているのはローンの返済です.
住宅ローンを完済した首都圏在住・子持ち男性サラリーマンへの調査によると,住宅ローン完済までの期間は平均13.7年,繰上返済での完済が9割.
そして,完済で実践した第一の手段は「節約」なのです.
(https://www.athome.co.jp/contents/at-research/vol35/images/at-research-vol35.pdf)
ローン返済の王道はなんと言っても節約です.
高額なマンション住まいの交際費はローン返済の大きな足枷になりかねません.
お互いさまで節約を
交際費は近所付き合いのために固定費に近い出費なのかもしれませんし,もしかしたらそれくらいの出費は当然とお考えかもしれません(違ってたらごめんなさい).
でも,戸建て住まいにくらべたら理由はどうであれマンション住まいでの交際費はとても高くついているのです.
もし近隣のご家庭と「互いに定期的に贈答をやりとりしている」なら,話し合って頻度を控えるなど工夫して一緒に節約し,ローン返済に役立ててみてはいかがでしょうか?
筆者は2級FP技能士ですが,下手なFPに相談してもスマホを格安にするとか節水コマを付けるとか保険を見直すとか、誰でも思いつく程度の手段しか提案しないケースもあるようです.まずはFPへの相談料から節約することをお薦めします.
住宅ローンの相談は次の本のご著者の千日 (id:sennich) さんが頼りになります.