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髑髏島のキングコングに島嶼化はみられたのだろうか?【映画『キングコング 髑髏島の巨神』より】

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このエントリーでは2017年3月公開の映画『キングコング 髑髏島の巨神』において,キングコングや他の登場動物に島嶼化がみられるかどうか,生態学的に検討しました.

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2015年にアカデミー賞主演女優賞を獲得した本作ヒロインのブリー・ラーソン(出典:http://top.tsite.jp/entertainment/cinema/i/34451987/index).髑髏島に到着してからはほぼ斜めがけ.

注意書き

このエントリーは映画『キングコング 髑髏島の巨神』のネタバレをふくみます.

ただし,2017年3月26日にワーナーブラザーズジャパンによって公開された特別映像[1]の範囲はほぼ逸脱してませんのでセーフかなと思ってます.

www.youtube.com

筆者は劇場上映中映画のネタバレ記事はまず読みません.予備知識無しで映画を見る方が好きだからです.  

もし,このエントリーをお読みになってる方もそうでしたらブラウザをそっ閉じしてください.映画.comによると2017年6月23日の上映が最後でした.なお本文が長くなったため少しでも文字数を減らすよう「である」調にしました.

はじめに:映画『キングコング:髑髏島の巨神』への違和感と島嶼化

家族に誘われ,映画『キングコング:髑髏島の巨神』を劇場で観た.

でも筆者はキングコングがあまり好きじゃない(その理由はいずれ書く)

さらに言うと,映画を観る前から違和感を覚えずにはいられなかった.

なぜなら「なぜ島にいるのに巨大なの?」
という素朴な疑問が頭から離れなかったせいである.

島嶼化とは

「島嶼化」という用語を耳にしたことがあるだろうか?

ざっくり言うと,次のようなもの.

島という生息地面積が限られる閉鎖環境では
①大型動物は食物資源が制限されるため小型化する
②捕食者がいないもしくは少ない場合,小型動物はより大型化する


英語では"Island rule"や"Foster's rule",日本語だと島嶼化,島嶼ルール,島嶼効果,フォスターの法則などと呼ばれる.

ちょっと長いけど島嶼化についての説明を専門書[2]から引用する.本当に専門書のまんまである.

 島では動物の体サイズも変化する.小型の動物は大型化し,大型の動物は小型化する.この現象はかなり広い範囲で見られており,ずばり「島嶼化」や「島の法則」と呼ばれる.この法則を唱えた研究者の名前から,フォスターの法則とも呼ばれる.
 小型動物が大型化する要因の1つとして,種内競争がある.前述の通り,島では種内競争が強く働く.体が大きい個体の方が,小さい個体よりも競争に強いため,島では大型化が生じやすいというわけである.ジャイアンが有利なのは,のび太やスネ夫より体サイズが大きいためだ.彼が小柄なら,ただの音痴としていじめられる立場にあったはずだ.p.155

注:『ジョジョの奇妙な冒険』第3部において,空条条太郎は敵スタンド使いアレッシーのセト神による若返り攻撃をくらって幼児化させられた.絶体絶命かと思いきや「幼いときからやるときはやる性格だった」条太郎はグーパンチラッシュを浴びせ,大人のアレッシーをあっさりKOした.この事例は種内競争において体サイズより個々の闘争能力がものをいうケースを示す.したがってジャイアンの例は必ずしも適切とは言えないかもしれないが,そこをつっこんだら話が進まなくなるので気にしないでほしい. 

 大型化には捕食者の不在も影響する.小型動物が中途半端に大きくなると,捕食者に見つかりやすくなるため,必ずしも利益にならない.しかし捕食者がいなければ,体サイズが大きくなっても捕食圧にさらされないため純粋に種内競争に専念し大型化できるのだ.ジャイアンは体が大きいため,家ではすぐに母ちゃんに見つかってしまう.彼が土管の上でいばっていられるのは,天敵のいない空き地だからなのだ.p.155

注:種内競争では親子の間柄と言っても同じ空間における資源を相争う関係にある.このためか,少なくとも一方の性の子はやがて親元を離れ自活する. 

今作のキングコングの舞台はまぎれもなく島=髑髏島.

髑髏島は周囲を永久暴風圏に囲まれた南太平洋の孤島という設定.そこにいる生物はどうやら太古の昔から独自の進化を遂げているようだ[3](p.5).

果たしてキングコングは髑髏島で大型化もしくは小型化したのだろうか?島嶼化は当てはまっているのだろうか?

キングコング

さて,そのキングコング.体長は31.6m・体重158トン.手のひら4.8m,足の裏6.7m[4].映画『キングコング:髑髏島の巨神』オフィシャルサイト.人から見たら巨大としか言いようがない.それでもウルトラマン(40m)よりは小さいのだが.

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(出典:http://wwws.warnerbros.co.jp/kingkong/

 

ちなみにキングコングの設定はこうだ.

●髑髏島に君臨する王で,島に調和をもたらす守護神.太古の時代からこの地に棲息してきた種だが,すでに家族や仲間は死に絶え,彼が最後に残ったコング族
●コングの武器は,鋼鉄をも引き裂く圧倒的なパワーと鋭い牙
:[3]p.8

 

噛む力はかなり,というよりめちゃくちゃ強い.映画では体長27mのリバー・デビルというイカとタコを合わせたような動物に襲われたものの返り討ちに.噛みちぎって食べてた(ということは植物が主食ではなさそう).

それを裏付けるのがオスに発達する傾向がある矢状隆起(矢状稜).矢状隆起は下顎を動かす側頭筋が付着する箇所.これがあることは噛む力が強いことを表す.矢状隆起はゴリラにもあるのだ.

スカル・クローラーに殺されたコングの両親と思われる全身骨格のシーンには,頭部に矢状隆起を持つ頭骨がしっかり写っている.コングの親のものならこれが父親の骨だ.

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キングコングと現生ゴリラには共通点が見られるものの,コング族がゴリラとの共通祖先から進化したかどうかはわからない(だが,キングコングのイメージが現生のゴリラに反映されるのは残念ながらたやすい)

なお,ゴリラのお腹は植物食者ゆえに腸が長いためぽっこりしがちなのだが,キングコングはそうじゃないことを指摘しておく.

それはさておき,ぱっと見,コングの大きさから島嶼化なんか関係ないように錯覚してしまう.


しかしながら・・・すでに賢明な読者の方はお気づきの通り.

島嶼化しているかどうかは髑髏島より大きな地域(本土 or より大きな島)のキングコングと髑髏島のキングコングの身体的データを比較しないとわからないのだ

その例としてニホンジカの研究をごく簡単に紹介する.

九州・津島・野島崎・屋久島・口永良部島・慶良間諸島に生息するニホンジカ(および亜種)を対象とした研究によると頭蓋基底長および足の中手骨はそれぞれ島の面積と正の相関を示し,「小さな島に生息する個体ほど体サイズが矮小化するという偶蹄類に共通してみられる島嶼ルールは支持された」[5](p.27)

 

もし九州のデータがなければ,この研究のデータは単に九州周辺の島におけるニホンジカ(の亜種)のものにすぎなくなる.島嶼化が当てはまるかどうか曖昧な結果になっただろう(p.26図2,図4など参照)

【追記】体サイズは島嶼化のみならず気候の影響なども受ける.ニホンザルは島嶼化ではなく,「寒冷な地域では体サイズが大きい」というベルクマンの法則が当てはまるとのこと.[6](p.45)


このように,ある種の動物が島嶼化が当てはまるかどうかを調べるには,島に生息している個体だけを調べてもわからないのだ.

◆キングコングはどうだろう?

今のところ,キングコングは髑髏島にいることしか確認されてない(はず).

じゃあこの話はここでおしまいになるのか?

それではこのエントリーのため,せっかく資料を買った筆者があんまりだ.

ここからは根拠を示しながら髑髏島のキングコングが島嶼化に当てはまるかどうか生態学的に検討する.

捕食者がいる!

さきほどの引用箇所をもう一度示す.

 大型化には捕食者の不在も影響する.小型動物が中途半端に大きくなると,捕食者に見つかりやすくなるため,必ずしも利益にならない.しかし捕食者がいなければ,体サイズが大きくなっても捕食圧にさらされないため.純粋に種内競争に専念し大型化できるのだ.[1]p.155

 

島に捕食者となる動物がいるかいないかが島嶼化に大きく関わってくる.島の動物相は島の成り立ち方によって異なるものの,たいていメインランドより貧弱になる.捕食者の種数・個体数ともに少なくなるかまったくいないケースも多い.

一方,映画もしくはYouTubeを見た方にはおわかりだが,髑髏島には実は強烈な捕食者が存在する.

その名はスカル・クローラー (所作の一部はモンハンのティガレックスに似てると思う).

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スカル・クローラーは体長3.65〜28.95m,体重40〜100トン.「巨大生物の第一号で,島の大地の下に隠れて待ち伏せている.獲物を丸呑みする獰猛なハンターで,コングの祖先を殺した宿敵」[文・画像は4より].

映画のクライマックスシーンではキングコングとスカル・クローラーの死闘が繰り広げらる.まさに怪獣映画ここにあり,という出来映えだった.

さて,上の文章に「獰猛なハンター」と書かれているとおり,スカル・クローラーは髑髏島にいる生物すべてにとっての捕食者である.

劇場で販売していたパンフレットから引用する.

・髑髏島でもっとも凶悪な種
・ふだんは地底に潜んでおり,腹を空かせると地表に這い出て手当たり次第に食いまくる.
・太陽に当たる時間が短いためか,体の色は浅く,皮膚は半透明になっている.
・島の食物連鎖から外れた存在
・体長は数メートルだが,太古から生き続け30メートル近くに成長した超大型のクローラー,通称"スカイ・デビル"も棲息.
・このデビルは,コングの種族を食いまくり全滅させた張本人
[3]p.9

空腹具合は個々の個体によって異なるだろうから,地上に出る際は基本的に単独行動.

太陽に当たる時間が短いことから日中の地上活動時間はそれほど長くないだろう(映画では比較的小型の個体2頭がかりでコングと対戦してましたが)


このような強大な捕食者がいる以上,大型動物がちょっと小さくなったところで利点はほぼない.つまり髑髏島の大型動物に島嶼化はみられないということになる.

では,この捕食者に対し,食べられる側の「被食者」たちがとりうる手段には何があるだろうか?

対捕食者戦略とは

捕食者に対抗するにはいくつかの手段(対捕食者戦略)がある,と言われてる.

A.小型化
捕食者に発見される可能性を低くする.
B.単独生活
これもAと同じ効果.群れをなすほうが見つかりやすい.
C.活動時間帯を違える
例えば捕食者が昼行性なら昼に活動すると出会う可能性は当然高くなる.

初期霊長類は小型で単独生活で夜行性と考えられている.

見つかりにくい敏捷で小さな体を持ち,見つかりにくいよう単独で生活し,捕食者に出会わないよう違う時間帯で生活する.同じ様なサルは今でも存在する(ネズミキツネザルの仲間など.ただし食性を考慮する必要があることは忘れてはいけないがそれは割愛)

D.擬態
身体が周囲の環境と溶け込むような概観をもつことによって発見される可能性を減らすことによって捕食を避ける.
E.大型化
体を大きくすることによって捕食者に対抗する.
F.集団を形成
集団を形成することによって捕食者の発見をより容易にしたり(回避する時間を稼げる)数の力で防衛する.

あと付け加えるなら,捕食者に対する武器となる特徴を身に纏うことや異なる生活空間に生息することだろうか(ただし前者は性選択も考慮しなければいけない)

さて,髑髏島の生物たちはどんな対捕食者戦略をとっているのだろうか?

髑髏島の生物の対捕食者戦略はこれ!

映画で見られた髑髏島の生物は,ヒトとある1種を除きどれもこれも単独だった.したがって,群れを形成することによって捕食者に対抗していたわけではなさそうだ.

繰り返すが,島嶼化とは大型動物が小型化し,小型動物が大型化することを指す.

しかしながら髑髏島の場合,大型動物がより大型化したとしか思えない.

映画に登場した大型動物で象徴的なのがスケル・バッファローだ.

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スケル・バッファローは体長13m,体重22トン[3および4].映画では常に1頭しかいなかったので単独生活を送っているのだろう.

おそらく,そう大きくないスカル・クローラー個体がこれを丸呑みするのは難しい.

スケル・バッファローは

牛の仲間だが,おもに湿地帯に棲息しており,数日にわたり水中に潜っていられるよう独自の進化を遂げている.周囲の環境に溶け込むため,背中の表皮の形状は珊瑚のよう.3本に枝分かれした長い角も老木のような形状で,戦いの武器ではなく擬態のためのものだと思われる.[3]p.9

とのこと.

単独生活・体の大型化・擬態を兼ね備え,しかも水中での滞在期間を長くすることによって捕食者に発見されないようにしてることが窺える(水中に長くいることはエネルギー消費を抑えるためとも考えられる)

スポア・マンティスという体長15mの巨大ナナフシも登場しますが,これもどうやら単独生活・大型化・擬態

バンブー・スパイダーという体長5~7mの巨大クモにいたっては竹林に棲息し,その足をまるで竹のように擬態させています(これも単独生活・大型化・擬態ですが,この擬態は捕食者から見つからない効果のみならず,獲物に気付かれない効果のほうに選択圧がかかったのだろう).

そしてキングコング

スカル・クローラーによってコング1頭にさせられる以前,少なくともコングの両親は生きていた.だが集団を形成していたかどうかは不明.

ちなみにコングはまだ成長期の若者という設定.まだまだ大きくなるらしい.[3]p.8

髑髏島には空を利用する動物もいる.それがサイコ・バルチャーという翼長2~3mの翼竜

コウモリに似た捕食生物で,地球上で初めて精神病質の兆候を現した.精神を高揚させる髑髏島の水辺に自生する有毒なフグを食べることで,攻撃性をさらに増幅させる.[3]p.9

これはヒト程度の大きさなら1羽単独で連れ去ってしまう(劇中,ヒトが空中で八つ裂きにされてた).恐ろしい恐ろしい.

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(出典:http://blog.goo.ne.jp/023_2011/e/7e3052915cb1a2f9faa5413ad4ee3b36

しかもこいつは群れをなす.

ということは,現生のゴリラやチンパンジー程度の大きさはもちろん,アフリカバッファローほどの大きさがあっても複数を相手するのは危険この上ない.

肉食性で群れをなし,空を飛び,しかも攻撃性が非常に高いという四拍子も揃った外敵はそうそういない.

この映画におけるヒール側ボスキャラは間違いなくスカル・クローラーだが,映画を見ていて最も恐怖を感じたのはサイコ・バルチャーだった.

キングコングもスケル・バッファローも水辺に姿を現したことから,サイコ・バルチャーと生息域を違えることによって捕食者を避けてはいないようだ.

というより,両者ともすでに大型化を果たしたため,サイコ・バルチャーを脅威とはみなしていないのかもしれない.大型化はサイコ・バルチャーに対して有効な対捕食者戦略なのだろう.

ここまでを整理する.

●髑髏島に棲息する大型動物が島嶼化しているかどうかを調べるには,髑髏島以外の生息地のデータが必要
●髑髏島には捕食者が複数種存在している.このため,島嶼化は当てはまらない
●かつてコング族は複数個体が島に生息していたものの,単独生活か集団生活かは不明
●コングを含め,髑髏島に生息するいくつかの大型動物はどうやら対捕食者戦略として身体の大型化を採用
●そういった大型動物の中には単独生活に加え擬態を採用するものがいる

おわりに

すでに述べたように,髑髏島におけるキングコングと他の動物が島嶼化に当てはまるかどうかは,他地域,特に髑髏島より大きな面積を持つ島もしくは本土にいるキングコングと比較しなければわからない.

だが,それはできない相談なので,髑髏島にいる動物たちの特徴と動物同士の関係から推測するしかない.筆者はキングコングおよび髑髏島の動物たちに島嶼化は当てはまらないと結論付けた.

まあ,こんなことを言うまでもなく, 
「髑髏島は地下の異世界とつながってるから隔離されてねーだろ!」

 というつっこみが聞こえてくるのは否めない.

だが,設定によると地下世界の住人はスカル・クローラーだけである(注:映画のエンドロールを見た方にはわかることだがあえてそう言っておく)

したがって,キングコングと他の生物は髑髏島の地上にある資源のみで生計を立てねばならないのだ.

重要なのは,髑髏島が異世界とつながっているから島が外界から隔離されてないことによって島嶼化が当てはまらないということではない.

髑髏島には捕食者がいるため大型動物は小型化しなかったことなのだ.

おまけの雑学

映画で見られたキングコングの行動についてメモ書きする.これもネタバレなので読みたくない方は飛ばしてほしい.

・スカル・クローラー戦で,コングが岩山にしがみつき後肢の力でジャンプしたシーンがあった.これはメガネザルやインドリというサルが行う垂直しがみつきはねとびというロコモーションに近い.メガネザルもインドリも前肢にくらべて後肢が非常に発達しているが,どちらかと言えば短足のキングコングがこれを行うには相当の筋力が必要である.

・雷雲をかわしてようやく髑髏島に到達したヘリ部隊が地質調査のため爆弾を落としたところ,大木が矢のように飛んできてヘリが撃墜される.大木は投げられたものだが,もちろん投擲者はキングコング.これだけでも道具使用に相当する.ちなみに野生チンパンジーではリスが潜む木の穴に棒を投げることが観察されている.

・スカル・クローラーとの闘いでは大木の余分な枝を払い落とし野球のバットのようにフルスイングするシーンがある.枝の払い落としは道具の加工に該当する.

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http://wwws.warnerbros.co.jp/kingkong/:動画より(特別予告編2分12秒あたりのシーン)

マハレ山塊に生息するチンパンジーは,木に巣を持つアリの巣穴に木の枝を差し込んでアリ釣りをする.このとき,彼らは枝をかじって加工する.

・キングコングは難破した船の碇のチェーンやスクリューを利用してスカル・クローラーと闘う.このような人工物の道具使用は野生チンパンジーでも見られている.アフリカのゴンベに生息するチンパンジーは一斗缶を引きずって大きな音を立てて順位争いで優位に立ち,見事1位の座を獲得した.

・キングコングが胸を叩くシーンはゴリラのドラミングと似ている.しかし,これは似て非なるもの.ゴリラのドラミングは平手で胸を叩いてポコポコポコという音を立てる.一方,キングコングはこぶしで胸をドコドコ叩いている.

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(記事冒頭動画の14秒くらいにキングコングが胸を叩くシーンがあるのでぜひ見て頂きたい)

ちょっと蛇足

『キングコング 髑髏島の巨神』は,例えばイカリ・グンペイという登場人物の名の由来がエヴァンゲリオンの碇シンジと任天堂でゲームボーイや「ドンキーコング」の開発に携わった横井軍平氏からとったものとか,ヘリコプターUH-1による島への突入シーンが『天空の城ラピュタ』や『地獄の黙示録』を連想せざるを得ないなど様々なオマージュも楽しい.

さらに,自分にとってはブログネタとして映画視聴後にも楽しめた快作だった.

ブログを書く目的は人それぞれだが,自分にとってはこのようにああだこうだと考えること自体がとても楽しい作業である.

そして,あれこれ考える材料は地道な研究から紡がれた知の中にふんだんにある.

昨今はすぐカネになる研究ばかりが「役に立つ」ともてはやされる傾向が強い.そういう分野もあって然りだが,何の役に立つかわからないどころかまずカネにならないような野生動物や植物や他の生物の研究は知的好奇心をかき立ててくれる.

最後までお読みくださり,ありがとうございました.

ではまた!

 

 

 

参考資料

[1]映画『キングコング:髑髏島の巨神』特別映像(Kong is King)【HD】2017年3月25日公開 - YouTube
[2]川上和人(2016)そもそも島に進化あり→めちゃくちゃ面白い.

[3]キングコング 髑髏島の巨神公式パンフレット(2017).松竹株式会社事業部編集・発行.
[4]映画『キングコング:髑髏島の巨神』オフィシャルサイト
[5]寺田千里・齊藤隆(2014) 島嶼ルールと局所適応:ヤクシカを中心に島の面積と地形の関係について考える.生物科学, 第66巻第1号,pp.24-29→生物科学の新しいものはAmazonでも買えますが,バックナンバーは農山漁村文化協会に直接申し込まないと入手不可です
[6]濱田穰(2014)マカクザル,とくにニホンザルにおける島嶼効果.生物科学, 第66巻第1号,pp.42-51

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