FP3級試験は1月・5月・9月で合格率が7〜11ポイントも違う
3級FP(ファイナンシャル・プランニング技能士・FP技能士)はとても受かりやすい資格試験です.しかも国家資格です.そして合格率がとても高いです.
FP3級学科試験の合格点は6割(60問で36点取れば合格)です.出題形式は60問中30問が正誤判定(ようするに○×),30問が3択問題.4択問題ではないため,資格試験としては破格の平易さを誇っています.
実技試験も合格点は6割(50点中30点)です.実技試験の問題も平易です.必ず手を動かして電卓を叩き,過去問を数回繰り返してポイント抑えればまず問題ありません.
これらのことがFP3級試験の高い合格率に直結しています.
FP3級試験は年に3回(1月・5月・9月)に受験できます.
高い合格率を誇るFP3級試験とはいえ,実は学科・実技によって1月・5月・9月の平均合格率の差が7〜11ポイントに上ります.このことはほとんど知られてません.
FP3級試験の実施団体はきんざいと日本FP協会があります.
この記事ではより受験者数が多いきんざいの過去15回分,86万2744人分のデータを分析しました.
より合格率が高いときに受験して,FP3級をより確実に取得しておきましょう.
FP3級試験合格率
FP3級学科
FP3級学科試験の過去15回合格率平均は62.17%,受験者全体の合格率は62.15%(合格者26万8661人/受験者43万2284人)です.合格率は約62%と言えるでしょう.
各回の合格率には48.19%(2017年1月)〜77.33%(2014年9月)の幅があります.直近2018年1月試験の学科合格率は65.34%でした.
ちなみに学科合格率が50%を切ったのは2017年1月試験だけです.あとはすべて54%以上の合格率となってます.受験生の半分強が合格する試験なのです.
◆FP3級はよほどのことが無い限り受験生の半分強が合格します.
ならば1月・5月・9月のいつ受験してもかまわないかもしれません.
ところが分析したところ,実は受験月によって想定外に合格率が違っていました.次の図は各受験月5年分の平均合格率です.棒グラフの上のバーは標準偏差です.
図1:FP3級学科試験 実施月別平均合格率
受験月別合格率は9月がダントツ,合格率は実に67.81%に上りました.これは最も低い5月より9.5ポイントも高いのです.
FP3級学科試験の平均受験者数は2万8818人.その9.5%は2737人.
1回の試験で2700人もの合否が変わると考えれば合格率の違いはおろそかにできません.
ちなみに5月は合格率のみならず,標準偏差=合格率のばらつきも最も低いです.
合格基準点が36点に固定されているFP3級試験の場合,合格率のばらつきは問題の当たり外れに大きく影響されると思われます.
つまり,5月試験は1月・9月に比べると外れ問題ばっかり出題されている可能性が高いのです.
「5月受験は4月から勉強を始める受験生が多いから勉強量が不足している」という意見もあると思いますが,それだと十分に勉強時間がとれる1月試験の合格率が9月試験ほど高くないことを説明できません.
とはいえ,それでも5月試験の合格率は6割近いです.べつに5月でも十分合格できると思いますが,9月試験のほうがより安心して挑めるかもしれませんね(もちろん,きっちり勉強した上での話ですよ).
では実技試験の合格率を見てみましょう.
FP3級実技:個人資産相談業務
FP3級実技:個人資産相談業務試験の過去15回合格率平均は67.23%,受験者全体の合格率は67.62%(合格者16万2536人/受験者24万362人)です.合格率は約67%と言えるでしょう.
各回の合格率には56.36%(2014年5月)〜83.18%(2016年9月)の幅があります.直近2018年1月試験の合格率は67.13%でした.
各受験月の合格率を分析したところ,学科試験と同じ9月が最も高くなっていました.
図2:FP3級実技:個人資産相談業務試験 実施月別平均合格率
最も高い9月の平均合格率は72.62%.
それに対し最も低い5月は61.33%.実に11.29ポイントもの差があります.
個人資産相談業務の平均受験者数は1万6024人.その11.29%は1809人になります.9月受験をお薦めします.
ちなみに5月は合格率のみならず,標準偏差=合格率のばらつきも他の月にくらべて低くなっています.
実技試験は学科試験以上に問題の当たり外れが大きいと個人的に思ってますが,こと5月に関しては他の月よりも問題が外れぎみかもしれない,と指摘せざるを得ません.
いずれにせよ実技・個人資産相談業務試験の合格率は6割以上なのですから平易な試験には違いありません.
FP3級実技:保険顧客資産相談業務
FP3級実技:保険顧客資産相談業務試験の過去15回合格率平均は55.87%,受験者全体の合格率は56.17%(合格者10万6795人/受験者19万98人)です.合格率は約56%と言えるでしょう.
各回の合格率には40.6%(2017年5月)〜71.21%(2013年5月)の幅があります.直近2018年1月試験の合格率は42.98%とかなり低かったです.
各受験月の合格率を分析したところ,これまた9月が最も高くなっていました.
図3:FP3級実技:保険顧客資産相談業務試験 実施月別平均合格率
最も高い9月の平均合格率は60.37%.
それに対し最も低い5月の平均合格率は52.78%,差は7.59ポイントです.他の2試験よりも差は少ないです.
保険顧客資産相談業務試験で気になるのは5月試験の標準偏差が突出していることです.
これは合格率のバラツキが大きい,すなわち問題の当たり外れが大きいことを示します.もしかしたら2013年5月にマークした最高合格率71.21%の影響があるかもしれません.ただし,それを除いた4回の試験のうち3回で合格率が50%を切っています.
一方,9月試験は5回の試験で50%台2回,60%台3回の高合格率をキープしています.
やはり9月受験がお薦めと言えます.
FP3級合格率一覧
FP3級試験は非常に高い合格率を誇ります.
参考までに,直近7回の合格率をまとめました.
日時 | 種別 | 合格率 | 合格者数 |
---|---|---|---|
2018年1月28日 | 学科 | 65.3% | 20,055 |
個人 | 67.1% | 11,092 | |
保険 | 42.9% | 5,615 | |
2017年9月10日 | 学科 | 69.9% | 22,830 |
個人 | 75.8% | 12,239 | |
保険 | 67.0% | 9,608 | |
2017年5月28日 | 学科 | 55.1% | 16,390 |
個人 | 59.6% | 7,553 | |
保険 | 40.6% | 4,941 | |
2017年1月22日 | 学科 | 48.1% | 16,800 |
個人 | 74.8% | 13,020 | |
保険 | 48.9% | 6,376 | |
2016年9月11日 | 学科 | 55.0% | 18,148 |
個人 | 83.1% | 14,663 | |
保険 | 66.9% | 9,876 | |
2016年5月22日 | 学科 | 54.9% | 14,441 |
個人 | 61.9% | 8,022 | |
保険 | 42.5% | 5,219 | |
2016年1月24日 | 学科 | 55.8% | 17,013 |
個人 | 57.3% | 10,013 | |
保険 | 58.5% | 7,653 |
合格率の表を眺めただけではわかりにくいのですが,すでに述べたように1月・5月・9月の試験のうち,9月が合格に有利であることがわかりました.
FP3級は学科試験6分野,実技5分野と出題範囲が多岐にわたります.でも得意分野をつくって確実に抑えれば難なく合格できる試験です.
他の月にくらべて合格率が低いとはいえ,5月試験でも平均すると半数強の受験生が合格しています.この記事を書いた4月4日から勉強を始めてもFP3級にはじゅうぶん合格できます.
実はFP2級も9月試験の合格率が最も高いです.5月に3級,9月に2級を狙うこともしっかり準備すれば可能かもしれません(2級は学科と実技の受験月を違えてもかまわないと思ってますけどね).
100万人受験生データから分析したFP2級合格率及び受験月別合格率【きんざい】
筆者の経験上,FP3級は1ヶ月(1日1時間,30時間程度)もあれば十分合格できると思っています.詳しくはこちらに書きました.
FP3級は2級FPへの通過点です.がんばってくださいね.
FP3級テキスト・問題集
筆者はきんざいを使いました.ここで紹介しているのは2019年5月まで対応版です.
'18~'19年版 3級FP技能士(学科)精選問題解説集、2018年7月6日発売.
'18~'19年版 3級FP技能士(実技・個人資産相談業務)精選問題解説集、2018年7月6日発売.