
このエントリーではオイルヒーターのメリットとデメリット及びデロンギ社製オイルヒーターについて紹介します.
ちょっと長い前置き:暖房器具遍歴と各器具のメリットデメリット
本格的に寒くなってきました.皆様,暖房の支度はすみましたでしょうか?
◆私が小さかったとき,家にはこたつがありましたが,主力火器暖房器具はこんな石油ストーブでした.仙台の実家ではいまだに現役.
当然ですが,このタイプのストーブには灯油が欠かせません.給油するにはタンクを外し,石油燃焼機器用注油ポンプ(石油ポンプあるいは灯油ポンプ)にて注油しなければなりませんでした.

石油ストーブは灯油の管理と火の管理をきっちりしなければならないという手間が必須です.小さいお子さんがいる場合には特に注意が必要です.私は小学校のストーブの煙突に腕を触れてしまい10cm×4cm程の火傷を負いました.
灯油の供給も一苦労です.実家にいたときはお米と一緒に灯油も配達してもらっていましたが,そのお米屋はとっくに廃業.今,実家では自分で灯油を買いに行ってるとのことです.
一方,このタイプの暖房機は電源がいらず(電池が必要な場合はありますが) ,停電時には絶大な威力を発揮します.ヤカンに水を入れて乗せておけばお湯も沸かせます,というか普通そうしてますよね?.親はたまたま東日本大震災前日に灯油をストックしておいたおかげで生き延びられたと言ってました.
◆大学を卒業して関西の某府に移動.家賃2万・玄関トイレ共同コインシャワー・コイン洗濯機のとても風情あるボロ下宿では,貰い物の電気ストーブを使ってました.
何しろ25年くらい前のことですから,こんな良い製品じゃありませんでした.ものすごく底冷えする土地に来てしまったため,布団に寝袋を入れて寒さをしのぎました.私は仙台で生まれ育ったのでそれなりに寒さ耐性はあったにもかかわらず,です.ここに住むのは二度とごめんです.
◆新婚当初,2DK家賃5万の安アパートに住んでた頃は石油ファンヒーターを使ってました.
ちょうど上の子が生まれて初めての冬を迎えることもあり,こんなガードも買いました.
石油ファンヒーターも灯油が必要です.車でガソリンスタンドまで買いに行き,えっちらおっちら2階まで上げてました.
◆今の家にはリビングダイニングに床暖房が設置されています.
住み始めた頃は床暖房と上記の石油ファンヒーターを併用してましたが,東京暮らしで車を使う頻度が激減したため,灯油を買いに行くのが億劫になってしまいました.
試しに床暖房だけで生活してみたら何の問題もないことに気付き,ファンヒーターを手放しました.
これで灯油の管理とはおさらばです.
でも,ひとつ問題が発生しました。床暖房がない部屋の暖房をどうするか?、という問題です。
各部屋にエアコンはありますが,それのみでは喉を痛めかねません.
そこで灯油不要のオイルヒーターを選択しました.
オイルヒーターはかれこれ15年以上使ってます.
前置きが長くなりましたが,このエントリーでは本格的な冬を迎える前に,おススメするオイルヒーターと,そのメリット・デメリットについて書きました.暖房器具選択の一助になれば幸いです.
オイルヒーターのメリット
Wikipedia(オイルヒーター - Wikipedia)によれば,オイルヒーターとは
密閉容器内の難燃性の油を電熱器で暖めて循環させてラジエーターフィン(放熱板)から放熱し、対流や輻射熱によって部屋を暖める暖房器具
のことです.

こんなのですね(画像出典はAmazonデロンギ オイルヒーター ドラゴンデジタル スマート X字型フィン7枚 3~8畳用 QSD0712-MB).うちではこのタイプのものともうちょっと古いタイプのものを使ってます.計4台所有してますが,全部デロンギ社製です(常時稼働は3台).
では,オイルヒーターのメリットについて見ていきましょう.
メリット1:灯油不要
石油ストーブ・石油ファンヒーターと違い,灯油がいりません.冒頭ですでに述べましたが,灯油の管理はけっこう力仕事です.腰骨を骨折してからというもの,ディズニーランドで3時間待機すると腰に来るなど,もう無理はできません.
私にとっては灯油運搬の業から解放されることが最大のメリットです.管理不要になったのも大きいです.
メリット2:部屋の空気を汚しにくい
石油ストーブは灯油を燃焼させるため,一酸化炭素・二酸化炭素等が発生します.ガス・石油ファンヒーター含め燃焼させる暖房器具は適切な換気が欠かせません.
一方,オイルヒーターにはその必要がほぼありません.また,ファンヒーターやエアコンのように風を発生させないので埃を撒き散らすこともまずありません.
メリット3:静か
オイルヒーターが稼働しているかどうかはランプが点いているかどうかを確認しないとがわからないくらい静かです.秋・冬になって使い始めのときにオイルが熱せられる音がするくらいですね.
メリット4:火の管理不要
石油ストーブの使用中は側に誰かいないと思わぬ火災を引き起こしかねません(私はレコードを乗せたままにしたことがあります・・・).オイルヒーターはその心配がほぼありません.もちろん,オイルヒーターの周りを整頓しておくのは言うまでもありません.
メリット5:火傷しにくい
メーカーによって異なると思いますが,私が使用しているデロンギ社によればオイルヒーターの表面温度は平均60℃〜80℃で,1〜2秒程度触れたくらいでは火傷しにくいとのことです(Q&A(よくあるご質問) | お客様の声 | 空気を汚さず乾燥しにくいデロンギ ヒーター).もちろん,小さい子どもがいるご家庭では注意が必要なのは言うまでもありません.
他にも,メンテナンス不要(埃除去掃除以外何もすることはありません),キャスター付きで移動できる等があります(オイルヒーター - Wikipedia).
とはいえ,決して万能ではありません.デメリットもいくつかあります.
オイルヒーターのデメリット
デメリット1:部屋が暖まるのに時間がかかる
ファンヒーターのように温風を発生させるのでなく,遠赤外線パネルヒーターのような輻射熱を発生するのでもなく,あくまでオイルの入ったフィンを加熱するため,自然対流によって部屋全体を暖めるのがオイルヒーターです.
このため,部屋全体が暖まるのに時間がかかります.これが最大の欠点です.当然ですが,隙間が空いた部屋では暖房効率はがたっと落ちます.広い部屋を暖めるのにも不向きでしょう.
逆に言えば新築の6畳間ならオイルヒーターで十分とも言えるのですが.帰宅してすぐ部屋を暖めたい方はパネルヒーターのほうが良いかもしれません.
デメリット2:けっこう電気代がかかる
学校の冬休み・春休みで子ども達が部屋にこもるようになると電気代が跳ね上がります.けっこう電気代かかるというのが実感です.
デロンギ社によるデータを紹介しておきます.
出典はこちら(http://oilheater.delonghi.co.jp/know/cost.html)です.電気代のシミュレーション条件は「建物の構造・断熱性:RC集合住宅・新省エネ基準(Ⅳ地域)に適合 運転時間:9時間(リビング:13時~22時、勉強部屋:13時~22時、寝室:22時~翌7時)外気温:拡張アメダスデータに基づいた東京の12月上旬の気温/照明や人体の発生熱などを考慮/1kW/時の電気代は27円(※)で計算 (※2016年6月現在)」とのこと.
電気代カンタン計算(http://oilheater.delonghi.co.jp/know/calculation.html)というページで,6畳・20℃・9時間使用で計算させたらこんな結果になりました.
うちにあるのは数年前に購入したものばかりなので,ECO機能がない右のタイプ(1時間当たり10.8円)になります.マルチダイナミックヒーターなるものもあるんですね.今のところは夜7〜10時の3時間くらいの使用ですんでますかた1日30円くらいでしょうか.
でも冬の最中は一晩中使いますので1日120円くらいかかります.それが3台なので,1ヶ月だと120×30×3=10,800円.子ども達が日中も使うと120×20×2=4800なので,ざっくり15,000円くらいにはなるかな,と思います.
それでも石油ストーブ/ファンヒーターで灯油と火の換気の管理をしながら3台やりくりするよりもはるかに楽なのです.
その他のデメリット
Wikipedaには日本式家屋に向かないこと(日本は木造住宅が多いため断熱性が低い傾向にある),廃棄が困難なことがあげられています(オイルヒーター - Wikipedia).廃棄についてはそれぞれの自治体でルールがあると思いますので,それに従いましょう.デロンギ社製のオイルヒーターなら送料はかかりますがデロンギ再資源化システムで回収しています.
コストの比較
暖房各種のコストパフォーマンスです(出典:http://www.geocities.jp/ohtashp/topics/heater/index.html).
各種暖房 | 1時間当たり金額 |
---|---|
石油ストーブ | |
ガスファンヒーター | |
エアコン | |
ハロゲンヒーター | |
カーボンヒーター | |
電気カーペット | |
石油ファンヒーター | |
オイルヒーター | |
こたつ | |
すでに述べた通り,このエントリーにおけるオイルヒーターのコストはデロンギ社による計算を採用しています(1時間当たり約10.8円).ただ,メーカー各社によっても,また使い方や部屋の構造,灯油を使う器具なら灯油価格,もちろん電気料金の変動等によっても1時間当たりにかかる金額は変わってきます.
これまでの暖房器具遍歴からすれば,オイルヒーターはそもそも石油ストーブ等より価格が高いですし,電気代だってそれなりにかかります.
でも,灯油・火の管理の煩わしさがない等のメリットがデメリットを上回ります.私にとっては最適な選択です.
デロンギ社製オイルヒーターの特徴
デロンギ社製のオイルヒーターは制御部分のタイプで2種類に分かれます(フィンの形状は割愛).デジタルタイプと非デジタルタイプ(としておきます)です.
◆非デジタルタイプ(マニュアルモデルですね)としたオイルヒーターの制御部分はこうなっています.画像は旧型,Amazonでは中古しか扱っていないようですね.
ランプが2つ点灯してるのがスイッチで出力大・中・小を分けています.
上の丸いツマミが温度調節,下の丸いのはタイマーです.実にアナログチック.慣れるまで何をどう調節したら良いのかわかりませんでした.
これは子供が小さいときから使ってたので,念のためガードをかぶせてあります.
このガードにはタオルハンガーが両方に付いてます.絞った濡れタオルを4枚かけておけば,一晩中使用しても乾燥で喉がやられることはまずありません.
◆デジタルタイプ(ドラゴンデジタルスマートオイルヒーター)はこうなっています.
デジタル画面に設定温度が表示されます.さらに,数字の下に矢印が見えますが,これで出力大・中・小をコントロール.格段に操作しやすいです.
◆Amazonでの売れ筋はこれになってました.非デジタルタイプです.その分,価格は安いです.サーマルカットフィンは掃除しやすそうですが,ガードが設置できるかどうかは判断しかねます.家電量販店やアカチャンホンポなどに足を運び,実物を確かめてから選んだほうが無難かと.
◆デジタルタイプならこちら.上述した通り,操作はよりカンタンです.
X字型フィンの欠点はフィン自体の掃除がし難いことです.フィンの間に隙間はあるけれど,掃除機のノズルが入りません.私は不要になったバンダナをファイルケースに引っかけてフィンの隙間から通して拭いてます.なにか良い掃除方法があったらぜひ教えてください.
X字型フィン用タオルハンガーはこれ.わりとしょぼいので,もうちょっと安くしてほしいです.濡れタオルがないと喉をやられるのでやむなく使ってる次第.
◆最新型のベルカルドオイルヒーターはこちら.リモコン,ECOモード搭載とのことです.
これ用のハンガー.なんでこんなに高いの?→買いました.使って見たら磁石が強力で便利でした.でもやっぱり高い・・・
【追記】デロンギのマルチダイナミックヒーターを追加.これは従来製品より温度管理性能と速暖性をアップしたものとのことです.
ただし,機能が加わった分価格も上がっています.予算に余裕がある方は検討してもよいかもしれません.
上位機種にはWi-Fiモデルもあり,これはApple TVを利用しての遠隔操作まで可能とのこと.帰宅前に部屋を暖めたり消し忘れを確認できるのはうれしいです.でもさらにお高くなります.
画像出典および価格・機能等はこちらをご参照ください.
http://oilheater.delonghi.co.jp/product/mdh15wifi-set.html
まだ所有したことがないのであくまで予測ではありますが,マルチダイナミックヒーターのデメリットはおそらく価格が高いことだけじゃないかな,と思います.
というのは,デロンギオイルヒーターは代が替わる度に性能が向上しているからです.マニュアルモデルよりドラゴンデジタルスマートのほうが明らかに使い勝手は上です.今使っているモノが壊れたら迷わずマルチダイナミックヒーターを買います.
おわりに
若い頃ならいざ知らず,自前のミートテックは役に立たなくなってしまいました.手足も冷えるようになってしまい,寒さ耐性が年々劣化しています.良い暖房器具は欠かせません.
オイルヒーターは,決してコストパフォーマンスが良い暖房器具ではないかもしれません.でも,こと安全製にかけては石油ストーブ・ファンヒーターを凌駕する暖房器具だと確信しています.