
はじめに
NHK朝ドラからの流れでTVのチャンネルをそのままにしていたら「あさイチ」のプレミアムトークに池上彰さんが登場しました(スゴ技Qではありません).
しばらく眺めていたら,視聴からの質問を受けて(という進行で)有働アナがこう発言.
池上さんが効率よく正確な情報を得るためにもっとも活用しているメディアをどういうふうに使っていらっしゃるのか,徹底的に,一緒に体験させていただこう
池上さんと言えば,今や情報をわかりやすく発信する第一人者.何冊も本を出し,新聞にコラムを連載し,TVに冠番組を持ち,2016年から名城大学教授に就任.
多忙を極めるにもかかわらず,あれだけのアウトプットのため,どのメディアをいつ,どのように使って情報をインプットしているのか気になりませんか?
このエントリーでは2017年1月16日放送のあさイチを視聴した際のメモ等を参考にして,池上さんの新聞活用術について書きました.池上さんの情報収集術の1つに触れてみたい方はぜひお読みください.
目を通す新聞は11紙
池上さんはTVのニュースもインターネットも見るけれど,もっとも重視するメディアは実は新聞.なんと毎日11紙(!)に目を通しているとのこと.
なんで新聞なんですか?
一覧性がありますよね.
TVのニュースももちろん見るんですけど,ずっと最後まで見ていないと全体がわからない.
新聞ですと,ぱっと見れば昨日から今日にかけてこんなニュースなんだなということがすぐわかる,時間短縮で情報が得られる
とはいえ11紙もの新聞です.ぱっと見るだけでもそれなりに時間がかかるはず.多忙ななずの池上さんは,いつ,どのように新聞を使っているのでしょう?
池上流新聞活用術
では池上さんの1日のスケジュールを見てみましょう.

1日のうち,新聞に費やすのは約1時間30分.
その内訳は
・朝20分
・電車の中で10分
・深夜に1時間
朝20分で4紙読破なんて「そんなの無理」(と本人の弁).
じゃあどうするかというと,こんな風にしているのです.
朝の活用術
①新聞をぱっと広げて見出しをざっと確認する
実演では見開きで5〜10秒程度でした.
②各紙を比較する.
例えば2紙の一面に同じ見出しがあったら,それは「今年,大きなテーマになるだろう」と判断するなどの材料になる.
③あくまで「とりあえずこんな話が出てるんだな」という点を確認することのみに集中する.
こんな話が出てるんだな,ってめくるわけですから20分もあればいいんですよ.とりあえずこんなことが出てたな,で終わり.
「見出し」を見るだけでどんな話かってことがわかるわけですよね.
池上さんは,さらに駅のキオスクで2紙を買い,同様の作業を行うのだそうです.2紙なら10分ですみます.
夜の活用術
深夜の1時間は,新聞をじっくり読み直すのに使います.朝にアタリを付けた記事を中心に各紙を読み比べるのかもしれませんね.
「面白い」と思った記事があれば,見開き1枚2面分を縦半分に手でびーっと切り取り,記事のある面だけ表にしてきれいに折りたたみ,A4クリアファイルに納めます.
これならペンで日付を転記しなくて済む上,ハサミすら手にする必要もありません.

画像に写ってるカバンにはクリアファイルがいくつも入ってました.

このカバンから取りだしたファイルにはもちろん切り取った新聞が入ってます.その数は実に4枚.4社のFRBに関する記事が入ってました(ただし,同じ日のものかどうかは不明).
番組では触れてませんでしたが,持ち歩くファイルに納められている記事は,本人にとって鮮度の高いものなのでしょう.ごく近いうちに文章にすると決めているものばかりだと思います.ふと文章が浮かんだとき,すぐに資料を手に取れるのとそうでないのとでは雲泥の差があります.
そして,4社の記事があればそれぞれ論調も重視するデータも違ってきます.それを自分なりに組み立て直すだけでもコラム1つのアウトラインを描くには十分かもしれません.そして,記事をとっかかりに補強データや背景・歴史などについて書籍や論文を調べて肉付けしていくのでしょう.
つまり,池上さんは,自分のアンテナに引っかかった記事を持ち歩き,本やコラムの執筆に用いるのです.
もちろん,ストックはどんどん溜まります.そこで,記事はいったん使い終わったら,クリアファイルから外して「新聞を切り取ったところにとりあえず積んでおき」(ちょっと意味がわかりませんでしたが,自宅か仕事場に切り取った新聞をストックするスペースがあるのでしょう),古くなってもう不要になったら古紙回収に出します.
その頃には記事を題材にした文章が出来上がってることでしょうから,自分が書いたものを参照できますからね.一次資料としての新聞は用済み,となります.
一般人はどうすればいいの?
そうは言っても,日頃から11紙相手に格闘するなんて芸当は,常に執筆作業をしている方ならではの行動.1紙しか購読してない一般人にどうしろというのでしょう?
そこで有働さんといのっち(猪原氏@V6)が「1紙ならどうなんですか?」と視聴者目線で(たぶん台本通りの)進行.
池上さんはこう言ってました.
もちろん1紙でいいんですけど,大きなニュースがあったり,意見が分かれる論調があったら別の新聞を買ってみる
この一言,番組では実にさらっと述べていたのですが,とても重要です.
うちも1紙しか購読していません.他の主要紙はインターネットで眺めてはいますが,同じ内容を比較するまでには至ってないです.せめて4紙の社説くらいは目を通そうかなと思いました.
見出しを見るだけでもいいから全部めくろう
日によっては朝忙しくて全く時間を取れす,新聞なんか後回しになるときも.そんな日常で毎日ファイリングに挑戦しても長続きするはずありません.
読まなきゃいけないと思うとプレッシャーになる. 毎朝,ぱーっと見ておもしろくなかったらそれっきりでいい.
おやっと思ったらそこだけビリビリと切り抜いてみる. なんとなく気になる記事があったらビリビリと切り取って積んでおく.ただそれだけでいいんですよ
「新聞なんか気楽に付き合えばいいんじゃないの」,というスタンスで良いかなと思います.
新聞で自分探し
新聞は「自分探し」に役立つとも述べてました.
それ(注:記事のファイリング)を1ヶ月2ヶ月続けてたくさん残ったらそれをあらためて見てみる.あれ?自分は気付かなかったけどこういう分野に関心があるんだ
「自分探し」というと漠然とした響きしかしないので何を言ってるかわからないのですが,「なんとなく関心を持ってはいるけれど,日常では潜在化している意識を可視化するツールとして新聞を活用する」,と言い換えれば良いのかな,と思いました.(東スポのある特定の面だけファイルするとかはちょっと違うかもしれませんが)
新聞で受験勉強
最後です.新聞を受験勉強・就職活動に活用しましょう.
中学受験,高校受験,大学受験,よく文章書かせるように今なってますよね.これから新しいテスト,入試センター試験にも記述式を導入しようという話になってます.そういうとき,私はコラムと毎朝対決してるんです
冒頭,読み始めるでしょ.冒頭の文章だけで,あ,今日はこういうテーマだな,と読み切ってしまえば私の勝ち
一方で,これ,どんなふうに話が展開していくんだろう,わかんないなーってワクワクどきどきして,最後まで行って,なるほどこういうふうに話を運んだのか,というときは私の負けなんです
さらに,あ〜負けた,これは見事だな,って思ったら,例えばお子さんであればそれを原稿用紙に書き写してみる.書き写してみるとさっと読んだだけでは気付かなかった文章表現の工夫というのがわかるわけですね
私も,だから大学生のときは就職活動,試験の勉強でそれをやってました.それはやっぱり文章力がつきます.小論文の対策にもなります
これは自分が高校生の頃に知っておきたかった新聞活用術でした.
ちなみに,うちで新聞紙・チラシを古紙回収に出すのは1ヶ月に1回程度にしています.これは震災時のトイレ対策も兼ねてのことのなのです.
閲覧注意画像を含むので食事中には読まないほうが良いかもしれません.
私もたまにブログネタ用に新聞をストックしていますが,新聞紙を切りもせず,一枚を丸ごと抜き取ったり,しまいには朝刊丸ごとボックスに放り込んだり.で,そのまま古紙回収に回すことのほうが多いという.
これからは心を入れ替えて,ストックした新聞記事をもうちょっとブログ記事に生かしたいものです.
ではまた!
【注:フキダシに用いた画像の出典はhttps://www.youtube.com/watch?v=m0JDyI98PoIです.】