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本の処分と沢木耕太郎

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もし、あなたが蔵書を数百冊所有しているなら、体が動くうちに整理しておくことを強くおすすめします。そんな話です。

本の処分

先日、北陸新幹線に乗りました。

東海道新幹線になくて東北新幹線と北陸新幹線にあるもの。

その一つがトランヴェールです。

www.jreast.co.jp


座席の網ポケットに入っているこの冊子、一番のお気に入りは沢木耕太郎のエッセイ『【旅のつばくろ】』。

いつも冊子巻頭2〜3ページに1枚の写真と文章が収まっています。

2019年8月号の写真は壁一面につくりつけの書棚

誰のものだろう?と思ったら、書棚に収められているのは堀辰雄の愛読書でした。

書棚は壁の二面にしかないため思いのほか本の数が少ない。(トランヴェール2019年8月号p.2より引用)

 「思いのほか本の数がすくない」と言うものの、写真に写っている本だけでもざっと700冊。

「これ、少ないことはないよね」と思ったのもつかのま、沢木耕太郎が「すくない」と言う理由が書いてありました。

沢木耕太郎は本を2回処分しています。

1回目は1万冊。ブラジル日系人に本を送りました。

2回目は数千冊。とはいえ、これは本人の意思による処分ではなく、本を預けていた倉庫会社の倒産によるもの。

そして3回目の処分が必要になっているとのこと。

作家を生業にしている方達の蔵書量は桁違いです。

とはいえ、一般人でもそれなりに本を所有しているものです。

我が家もそれなりに本があります。書庫とは名ばかりの物置に4架の書棚を組みました。

今の家に移る前から所有していた夫婦の専門書だけで3架がすでにほぼ満杯。写真スライドや資料もあります。残る1架に買い足した本を次々入れていくもすぐに埋まり、棚の手前のスペースに前後で並べていく始末。棚はたわみ、東日本大震災では本雪崩が発生しました。

年々、自分のからだのあちこちにガタが生じ、これ以上先延ばしにすると本を降ろすことすらかなわなくなる(なにしろ書庫は5階)と思い立ち、5月に300冊ほどの処分を敢行。書架の裏を見たらカビだらけだったので、こちらもすべて処分。

本の梱包、棚の分解とこちらも梱包、1階と5階との往復・・・2週間かかりました。

処分した本の一部

処分した本の一部

それでも捨てられない専門書が100冊ほど残り、これまた大量にあるマンガ(ワンピース全巻、NARUTO全巻、ガラスの仮面全巻、生徒諸君全巻、ジョジョの奇妙な冒険第1部〜第6部&スティール・ボール・ラン全巻など)は手つかずのまま。

これらもいずれは処分しなければならない日が来ますが、それはまたそのうちです。

衰退する中古本市場

沢木耕太郎は堀辰雄文学記念館の帰りに近くの古書店に立ち寄っています。

おそらくここでしょう。

www11.plala.or.jp

「いかにも文学館の近くにある古書店らしい品揃えで、適当に数冊抜き出して裏に記された値段を確かめると、安くはないが高くはないという、真っ当な値付けをしている」書店とのこと。

ひとしきり眺めたあとで店を出ようとしたところで、書店員に沢木耕太郎と気付かれてしまい、堀辰雄の『菜穂子』を買うことにした沢木は店員と会話を交わします。

帳場でそれを差し出し、これをいただきますと告げてから、不思議に思っていたことを訊ねてみた。
「こういうお店では、本をどうやって仕入れるんですか」
(中略)
仕入れに困るというより、むしろ古書業界全体が供給過剰で困っているくらいなのだという。
「6、70代の男性がいっせいに本を処分なさろうとしているせいです。この方たちが紙の本を大量に買った最後の世代なんだと思います」

 なるほど、私と同世代の男性たちが(中略)まず書物の処分を敢行しはじめたらしい。人生の「始末」をつけるために。

(トランヴェール2019年8月号p.3より引用)

人生も50年を過ぎ、子育ても終わりに近づくと人生の「始末」をつけるステージに入ります。

これまでにも読まなくなった本をその都度処分してきました(本のみならず、画像のWii Uも処分予定)。

案の定、古いものにはろくな値がつきません。売り主が稀覯本と思っていたところで需要がなければなんにもならないのです。高く売りたければ、新刊本を早々に読み終えてさっさと売るしかありません。

売り先も、結局はネットで簡単に手配できるところ利用しています。とある古書店に依頼してみたところ、目録を要求されたことがあります。はっきり言ってめんどうです。そこまでして引き取ってもらおうとは思いませんし、先方も引き取る気がなさそうでした。

本を引き取っても売れないのでしょう。

ガベージニュースのこの記事によると、中古本市場規模は2014年度の877.6億円から2017年度の746.7億円へと下落が続いています。

そのうち、ブックオフなどの新古書店では2014年度に475.1億円だったのが2017年度には372.8億円に。

沢木耕太郎が訪れたような昔ながらの古書店では2014年度に402.5億円だったのが2017年度には373.9億円に。下落率は新古書店よりまだ緩やかです。

とはいえ、活字離れに加え、電子書籍の普及やメルカリ等のフリマアプリなどの「新古書店・古書店を通さない取引」が増加しています。古書が売れなくなるのは自明でしょう。

実際、影響はとっくに顕れています。私が学生の頃、故郷の仙台では南町通りと五橋通りを結んだ一番町のアーケード街に直結する通りに古書店が5軒並んでいました。

時間があるときは足繁く通っていたものの、今では1軒しか残っていません。

時代の移り変わりと言えばそれまでです。今の若者たちがビデオテープやPDディスクを知らないように、古書店はおろか書店すら知らない世代に遷っていくのもそう遠くないのかもしれません。

ではまた。 

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