世間を賑わせた日大アメフト部悪質タックル問題。
その影響は来春2019年度日大の志願者数に及ぶとも言われています。
しかしながら、その影響は大学受験だけにとどまらないだろうという印象を持ちました。
日大の2019年度志願者数は1万人減少か?
大学ジャーナリストの石渡嶺司氏によると、日大の志願者数は「1万人近く、もしくはそれ以上の減少がある」とのこと(泥沼化の日大劇場で受験者数は1万人減少も~大幅減か、微減か、過去データから検証(石渡嶺司) - 個人 - Yahoo!ニュース)。
その根拠の一つは、他大学による過去の不祥事後の志願者数データ。
早稲田大学では、2004年スーパーフリー事件の前後で約1万人志願者が減りました(2003年度12万1,815人から2004年度11万3,553人、同記事より)。
来春2019年度入試における日大志願者数がどうなるかは蓋を開けてみないとわかりませんが、ほぼ確実に志願者が減るだろうと筆者が予想しているのは中学入試です。
中学入試はイメージがものすごく大切
中学入試での志望校選びには様々な要素が絡みます。
例えば中学受験ナビでは次の6つをあげています。
- 高校卒業後の進路、大学合格実績
- 学校の校風、教育理念
- 立地、通学時間
- 学校の設備
- 学費・特待生制度
- 部活
もちろん、子どもの学力に見合うかどうかが最重要ではありますが、子ども二人の中学入試の経験上、「志望校」選びの段階ではまず家から通える範囲にあるか、雰囲気はどうか、子ども達の様子はどうか、子どもを連れて行ったときの子どもの感じ方はどうか、などから絞り込み、ここは違うな、という学校をふるい落としていきます。
ざっくり言えば、子と親が中学入学後の姿をイメージできない学校には二度と足を運ばないのです。
ところで、日大入試については先に述べたように受験者数1万人減とも言われています。
しかし、日大には多数の系列中学・高校があるのです。
日大系列中学・高校等への影響は?
日大の系列の中学校・高校、そして小学校・幼稚園は合計で27校もあります。
(http://www.nihon-u.com/link/より)
これらのうち、中学は15校あります。
筆者は子どもの中学受験のとき、4校の学校説明会に足を運びました(日吉、習志野、土浦にも行きましたよ)。
どの中学でも、学校説明会の冒頭で自校が日大系列のどこに位置するのかについて話してました。特に、付属校ほど時間を割く傾向があったと記憶しています(付属校のほかに、準付属校、特別付属校があり、付属校は学校法人日本大学が運営)。
もちろん日大系列の中高一貫校に入学したからといって全員が日大に進学するわけではありませんが、日大とのパイプの太さを強調・誇示することがひとつのステイタスになってるんだな、との感想をもちました。
アメフトタックル事件のあと、中学の学校説明会で日大との関係をどう語るのか確かめるつもりはありません。もう学校説明会に行きませんので。
ただ、これから日大受験を考えているご家庭では、そのあたりをきっちり聞いたほうがいいかもしれません。
事件の前後で掌を返すような学校なのか、事件は事件として従来通り日大への進学者もいれば他大学受験者もいて、どちらの進路だろうと生徒に寄り添う姿勢を崩さない学校なのか。
納得できるなら日大系列校を受験しても良いでしょうし、そうでないなら考え直したほうが良いかもしれません。
いずれにしても、今の日大のイメージは非常に悪くなっています。
日大はなによりも若者の未来を考えるべき
今回のアメフト問題への一連の対応で、日大はどのようなまずいイメージを世間に植え付けたのでしょう。
それは、「日大は若者の未来より組織の保身を優先する」というイメージです。
中学入試はちょっとしたイメージによって受験者数を大きく左右します(例えば制服が新しくなったとか新校舎が完成したとかのイベントがあると、教育理念は何も変わっていないのに受験者数は増える傾向にあります)。
日大側がこのまま小手先の策で収束を図るつもりなら大学入試はもとより中学入試、高校入試にも悪影響を及ぼすでしょう。
日大には、なによりも若者の未来を考えて欲しいものです。
元アメフト選手・プロレスラーのスタン・ハンセンのこの言葉で本稿を締めくくります。
反則を犯した選手も、反則を受けた選手も、いずれも20代の若者なんだろ? 彼らの未来を考えてあげることが一番大事なんじゃないかな。フィールドでの事故がこういう状況になった時、一番最初に守るべきものは何なのかを、大学関係者は深く考えてほしい。それは決して地位や役職や名誉などではない。(https://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/1015939/)
ではまた。