おまきざるの自由研究

好奇心の赴くままに

2018年中にレビューしたい本:『会計学の誕生』〜『ゴールデンカムイ』

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はじめに

日に日に本が増えていきます.

書店で気になって手にとり,買ったまま積ん読されてる本,
調べもの用に買って必要なところだけ読み散らかした本,
家族が買ってきて面白そうなのでそのうち紹介しようと思った本,などなど.

それらのうち,いくつかはこのブログでも書評という形で記事を書きました.

もちろん,買った本すべてについて記事を書けるはずもありませんが,「せめてこの本についてはブログに書き残しておきたい!」と公開しておけば,自分にとってきっと外圧になるでしょう.

そんな思いからこれだけは2018年中にレビューしておきたい本をピックアップしました.

「これは!」と思う本に出会うお手伝いができれば幸いです.

文化の成り立ちと背景に関する5冊

会計学の誕生

 

資格試験ラッシュが続いたので今年受験する気はないけれど,いずれ日商簿記は取得したい,ならば複式簿記の歴史を知っておいて損は絶対ない.そう思って正月早々に購入した1冊.

「悪貨は良貨を駆逐する」で知られるトーマス・グレシャムによる1546年の仕訳帳の画像から序章が始まります.それに先立つこと約300年,13世紀初めにヴェネツィアやジェノヴァといった都市国家において,「商人たちの日々の取引を記録する技法」として複式簿記が誕生しました.

そのきっかけとなったのが十字軍の遠征や東洋(コショウ等)と西洋(毛織物等)の交易.モノの取引にはお金の借り手または買い主がいればお金の貸し手または売り主がいるのは必然.やがて「簿記は借主(借方)と貸主(貸方)の二重記録,したがって複式簿記として歴史の舞台に登場することになります」(「」は本文より引用,以下の本も同様)

大学の誕生

 

 

明治10年の東京大学設立を端緒とした日本の大学は,今や764まで増えました(平成29年度,http://eic.obunsha.co.jp/pdf/educational_info/2017/0626_1.pdf.とはいえ,すでに募集停止に追い込まれた大学があるように,少子化の進行によって大学は淘汰されます.

生き残りを賭けた大学改革は待ったなしのはずなのですが,端から見る限りその歩は遅々としてるようにしか思えません.

その原因は,「明治から大正初期に至る「大学誕生」の時代に形成された,わが国の大学組織と高等教育システムの基本的構造の,強固な持続性」にあるのかもしれません.

世界を変えた6つの「気晴らし」の物語

 

正月早々に買った2冊のうちのもう1冊.

6つの気晴らしとは何を指すのでしょうか?目次はこうなっています.

第一章 下着に魅せられた女たち ファッションとショッピング
第二章 ひとりでに鳴る楽器 音楽
第三章 コショウ難破船 
第四章 幽霊メーカー イリュージョン
第五章 地主ゲーム ゲーム
第六章 レジャーランド 
パブリックスペース(なお,「本書で語る歴史は意図的に,人生で最も強烈な喜び,たとえばセックスと恋愛を除外している」).


第六章のパブリックスペースにはバーやコーヒーハウスも含まれています.

保険会社のロイズ・オブ・ロンドンがコーヒーハウスから始まったことは『マスターキートン Reマスター』で知りました.

 

それはともかく,18世紀のコーヒーハウスには入店料1ペニーを払いさえすれば,貴族も詩人も地主も株式投機家も役者も起業家も科学者も入店でき,みんな次のルールに則っていたようです.

そのルールとは,

「一緒にすわるも非礼にあたらず,身分の上下は気にせずに,見つかる席にすわってよし

目上の人が来ようとも,立って譲る必要なし」

こういった「コーヒーハウス特有の民主主義は,それ自体が成果であり,次の世紀には政治的民主化に一役買うこと」のみならず,「驚くほど多くのイノベーションにもつながった」と言います.

この本はどれもこれも今や人々にとって当たり前となった「6つの気晴らし(原題は"play"とのこと)の歴史が紡がれた一冊,気晴らしにちょうどいいかもしれません.でも「人類進化」は言い過ぎじゃないかな,と思います.

バナナの世界史

 

バナナを食べたことがないヒトはまずいないでしょう.

でも,日本で私たちがふつうに食べている栽培バナナのほとんどがキャベンディッシュ種であり,ひとたび病気が蔓延したら絶滅しかねないことを知っているヒトはそんなに多くないかもしれません.

今やバナナは人類の食文化にすっかり組み込まれてしまいました.そんなバナナとヒトをめぐる歴史と現状を知れば,これからバナナを見る目がちょっと変わるかもしれません.

なお,新パナマ病については書かれてないので,情報としてはやや古いかもしれません. 

なぜニワトリは毎日卵を産むのか

 

卵はバナナ以上に世界的にポピュラーな食材と言って良いでしょう.特に日本では卵かけご飯という独特の食文化をもつこともあり,非常に身近な食べものとなっています.

ところで,卵かけご飯を最初に食べた人物は誰でしょう?

温泉たまごは英語でなんという?

オムレツを発明したのは誰?

メンデル遺伝の再発見は1900年にド・フリース,コレンス,チェルマックらによってなされたけれど,もし彼らがいなかったら私たちはエンドウではなくニワトリのトサカでメンデル遺伝を勉強していたかもしれません.

この本にはそんな卵とニワトリにまつわる「根拠のある科学的ウンチク」がこれでもかと綴られています.元ネタの出所が『鶏鳴新聞』という鶏卵・鶏肉・養鶏・畜産の業界紙への不定期連載だと最後に知り,腑に落ちました. 

生き物にまつわる7冊

そもそも島に進化あり

 

キングコング映画のエントリー髑髏島のキングコングに島嶼化はみられたのだろうか?【映画『キングコング 髑髏島の巨神』より】 - おまきざるの自由研究 を書くために買った本.

進化に関する箇所はもちろんきちんと読みました.しかしながら,この本でもっとも目立つのは本文下の用語説明だったりすることが判明,というか一目瞭然.

第一章から用語を抜き出します.

島嶼,アオゲラ,チメドリ類,オオコウモリ,六大陸,ひょっこりひょうたん島ガバチョ先生ラピュタ,エロマンガ島,カナリア諸島,3分クッキング,地動説,ジャイアント馬場(イラスト付き)猪木,マリアナ諸島,常磐ハワイアンセンターブルック・シールズMac Pro腐海,地震島,氷河期,縄文海進

これらの用語はもちろん必要があるから本書に登場しているのですが,ムダに要点をおさえているので侮れません.

なお,この本のカバーを外すとそこにはカバーとはまた違う絵が登場します.どちらも著者川上氏によるものということを,『おっぱいの進化史』の書評をブログに書いた縁で編集の方からうかがいました.Kindle版もあるけれど紙版をぜひ手にとってほしいとのことです. 

 

人類の祖先はヨーロッパで進化した

 

書店で見かけ,タイトルに疑念を抱きつつ手にしたら監訳・日本語版解説が国立科学博物館名誉研究員の馬場悠男さんでした.本は冒頭,31ページにもわたる馬場さんの解説から始まります.この部分だけでも価値ありと思い迷わず購入.

サピエンス全史

 

 

Kindleなら上下合本版が便利.

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

 

 

言わずと知れたユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』.

しかしながら,書き始めの数章は粗が目立ちます.

ハラリは,カトリック聖職者を「子どもを持たないエリート層」としていますが,「あらん限りの淫行がおこなわれていた」修道院では修道士や神父が生ませた子はうやむやにして隠されていたようです(『性病の世界史』を参照ください)


また,狩猟採集民についてもこれはどうなんだろうという記述が.

さらに言えば,ハラリは種の分岐についてとてもサラリとしか書いてません.

この点をわかりやすく補うべく別の本を注文しました.それと併せてレビューしようかな,と思います.

若い読者のための第三のチンパンジー

 

『銃・病原菌・鉄』(原著出版は1997年)でつとに有名なジャレド・ダイアモンドによる近著.

近著ではあるけれど,実はダイアモンドの第一作『人間はどこまでチンパンジーか?』(原著出版は1992年)がベースとなってます.

この20年ちょっとの間にヒト以外の霊長類の研究のみならず,ネアンデルタール人やフローレス人などの知見も蓄積されました.本書はそれらもふまえてリライトされ,しかもよりコンパクトにまとめられてます.

筆者は文庫版を購入.

霊長類 消えゆく森の番人

 

霊長類のうち,果実を主に食べる種(果実食者)は果実を種ごと丸呑みすることがあります.

種はやがて消化管から排出(ウンチ)されることにより発芽のチャンスが増える場合があります.種子をあちこちにばらまく者,という意味で果実食者は種子散布者と呼ばれています.

もちろん果実ではなく葉を主食とする種もいます(葉食者).彼らは,ときに葉を全部食べ尽くして木を枯死させたり,花を食べて種子を作れなくさせたりもします.

これらの霊長類の仕業は,彼らが意識しようとしまいと森林の生態系に影響しないはずがありません.ある研究者はこういった霊長類の働きについて「熱帯の森の生態系の構造を決める上で,非常に重要な役割」を果たすことから,彼らを「生態系のエンジニア」と呼んでいます.

でも,そんな「生態系のエンジニア」達は絶滅の危機に瀕しています.

アフリカ・ルワンダのマウンテンゴリラ,タンザニアのチンパンジー,コンゴ民主共和国のボノボ,マダガスカルのキツネザル,マレーシアのオランウータン,南米ペルーのアマゾン川流域でのアカウアカリなど,研究・保護が行われている現地に著者が実際に足を運び,現状を訴える渾身の一冊. 

 

ウニはすごい バッタもすごい

 

帯で福岡伸一氏が大推薦してますが,何しろ『ゾウの時間ネズミの時間』を書いた本川達雄さんの本.買わないわけにはいきません.

登場する動物はサンゴ,昆虫,貝,ヒトデ,ナマコ,ホヤ,陸上生活する四肢動物.

これら7動物は各章に該当し,章末にはそれぞれを褒める歌が記載されてます.そして巻末には全7曲の歌詞・楽譜までもを収録.作詞作曲はもちろん本川達雄さんご本人です.

「もちろん」と書いたのは本川さんにはこんな著書(CD3枚付属)もあるから.

 

この本は,ともすれば無味乾燥になりがちなメンデル遺伝を,なるべく楽しく女子大生に伝えるのにとても助けられた想い出の一冊(2冊も所有).購入時はCDが揃ってるか要確認.

ちなみに「体長5cmのサバクトビバッタが跳ねてそのまま着地した時は,高さ25cm,距離1mのようで,体長の5倍まで跳ね上がり,20倍前方に着地する(本書より)」とのこと.身長1.7mのヒトがそうできれば高さ8.5m,距離34mに相当します.バッタはすごいのです(いや,もちろんこれだけではないけれど).とはいっても仮面ライダーのジャンプ力(高さ)にはまだ及ばない.

バッタを倒しにアフリカへ

 

サバクトビバッタを倒しにモーリタニアに渡った若手研究者の物語.カマキリのかぶり物と言えば香川照之だが,バッタの扮装と言えばこの男に勝る人はいないだろう(適当)

霊長類野外研究黎明期の本をあれこれ読んできたが海外でのフィールドワーク,それも初めての地でのそれは人と場所にもよりますが,たいていさまざまな困難に遭遇するものです.調査以前に現地にたどりついて生活を整えるだけでも一苦労なんてことはよくある話(私も熱帯林の調査時に石がごろごろしてる河原でテントも張らず一晩雑魚寝とかしてました)

前野氏の場合,宿舎であてがわれた個室が冷房・冷蔵庫・シャワー・トイレ完備.読んでて「何それずるい」と思ったけれど,砂漠の調査にはまた違った苦労がたくさんあるんだなあと知らされました.

この本は,そんなフィールドワークの様子をいきいきと,しかも面白おかしく読ませてくれます.その文章力は著者天性の資質かと思いきや,プレジデントオンラインの連載で鍛えられたことが大きいようです.

とても楽しく読める本ではありますが,バッタを倒す前に本人が金銭的事情に倒されそうになる模様も書かれていて.日本の若手研究者支援体制の脆弱さになんとも憂鬱になってしまいます(15年前とぜんぜん変わってない).もしお子さんが研究者を目指しそうになるときはこの本を真っ先に読むことをお薦めします. 

漫画をひとつだけ

ゴールデンカムイ

 

2016年の宅建・2017年の賃貸不動産経営管理士試験が終わるまで読むのをずっと我慢していた作品.年末に12巻全部大人買いしてとりあえず一周しました.この漫画にもバッタが登場していて思わず喫驚.もちろんそれ以外の描写にも.

『サピエンス全史』には狩猟採集民が非常に重要な存在として登場します.『ゴールデンカムイ』ではその役割をアイヌが担っています.

アイヌのことが気になったので(気にならないはずがない)さっと文献に目を通したら,彼らを漁労民ととらえるものがありました.では狩猟採集民とはいったいどんな生活をしていた人達を指すのでしょうか?

ちなみに『ゴールデンカムイ』の巻末には資料が掲載されています.巻が進むにつれて参考資料がどんどん増えていることにお気づきでしょうか?

2018年4月からはアニメが放送されます.まずは杉本役の小林親弘さんが「アシパさん」をどう発音するのか楽しみです.

おわりに

本来,こういった記事はしっかり読み終わった本で構成されるべきかもしれません.

でも,それを待っていてはいつまでたっても本を紹介できない,こともあります(もっと早く読めばいいのだけれど).目を通した程度の本のみならず,積ん読本もたくさんあります.そういった本でも記事で紹介することによって, 多くの方に知ってもらえる機会が増えるかもしれません.

2018年はなるべくたくさんの本を紹介したいです.

ではまた!

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