
はじめに
今日,9月1日は防災の日です.年に1度,この日を機に震災への備えをする方は少なくないと思います.私も水を買い置きしたり緊急グッズを揃えたりしました.
震災時には,避難所あるいは自宅でなんとか生活するにしても,ふだん使っている生活インフラが使えなくなることは覚悟しなければなりません.生活インフラのどれが使えなくなっても大変ですが,とりわけ問題になるのがトイレです.
このエントリーでは,震災時におけるトイレの取り扱い方と各種の簡易トイレ法をまとめてみました.一般の方はもちろん,施設管理をなさっている方たちにとっても,いざというときに何らかの役に立てれば幸いです.
【追記】「閲覧注意にすべき」とのはてなブックマークコメントをいただきました.見る方によってはそうかもしれませんので,ご注意くださりますようお願いいたします.
震災が起きたら?トイレの惨状を防ぐための初動が肝心
ケガ等を負わず,崩落や火災から免れた方は,トイレを使用禁止にしましょう.
崩落等の目に見える被害がなければ,トイレは使えるものと無意識に思ってしまうかもしれません.しかし,見た目はOKでも配管が破損しているかもしれません.配管が破損したままタンクに残っている水を流せば汚水が漏れます.また,断水になれば水が足りなくなり,汚物が流しきれなくて詰まるかもしれません.
それでも人はトイレに用を足しにきます.その結果は想像の通り.
避難所となった公共施設は小,中学校,高校,大学,公民館,体育館などであったが,一気に1000人〜2000人の被災者が24時間使うわけだから,トイレも通常の使われ方ではない.地震直後に断水.家が壊れ,火災に合った人びとは精神的にも不安定,そこに恐怖感が寒さも加わり,トイレに行く回数も増える.東灘区の小学校では2時間で便器が汚物で山盛りになり,やがてトイレの中が足の踏み場も無いほど汚物で散乱したそうである.(http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/book/11-284/pdf/117-127.pdf)
画像からはその惨状ぶりが顕わです.
こうならないためにも,まずはトイレという「排泄のためのパーソナルスペース」を「衛生的に使える状態」で確保するため,使用禁止にすることが肝要です.
そのため,震災時に避難所となる公共施設や,帰宅難民がおしよせるかもしれない商業施設で管理業務にあたる方は,あらかじめ使用マニュアルを作成したり,「使用禁止」の張り紙,使用上の注意点を記載したポスター等を準備したり,トイレットペーパーや後述するトイレ用ポリ袋等を備蓄する必要があるでしょう.
また,家庭でもトイレの排水管が破損しているかもしれない事態に備えて,タンクの水抜きようのビニールポンプ(灯油を入れるのに使うあれです)や便器内の匂いをおさえるため少量水を残してあとはすくうためのコップ等,そしてそれぞれの水を入れておく容器は準備しておいたほうがいいでしょう.
断水時トイレ使用法:市販の袋式トイレ
断水前提でトイレを汚さないように使う方法がいくつか考案されています.
市販の「袋式トイレ」を用いる方法もその1つ.
これですね.
とはいえ,これ,1つ150円ほどします(まとめ買いすれば単価は下がりますが).コスト面からは決して良くないので,私は緊急用ポーチに1つ忍ばせて,あとは非常用持ち出し袋に入れるつもりです.持ち出し袋作らないと・・・
すでに引用した『2014女性の視点でつくるかわさき防災プロジェクト』)では,「袋式トイレ」のようなコストのかかる市販品を用いることなく震災時にトイレを使う方法を5つあげています.
同様の方法は,災害時のトイレ術だニャン│となりの防災家族~1週間自宅サバイバル術~│NHK そなえる防災にも掲載されています.
方法は市販の「袋式トイレ」と大差ありません.
袋式トイレの使用法は,
①便袋と便座にかける(袋が便座にかけやすい形状になっている)
②用を足した後に凝固剤をふりかけ,排泄物を固めて袋を持ち上げる
③空気を抜いて袋を結ぶ.袋は結びやすい形状になっています(画像がイマイチですみません).
袋の形状は一般のポリ袋ではどうしようもありませんが,早い話が凝固剤とポリ袋があればなんとかなるのです.
では,凝固剤には何を使えばいいでしょう?
断水時トイレ使用で使える凝固剤は?
A.猫トイレ用の砂(以下,猫砂)
市販品で安価で気兼ねなく使えるのはなんといっても猫砂でしょうか.猫砂にもいくつか種類がありますが,燃えるゴミで出せて消臭タイプのものが適しています.
Amazonのオススメにあったので貼ってみますが,商品紹介によると「瞬間消臭+長時間消臭+抗菌力のトリプル査証で強力消臭」とのことです.
水抜きして45リットルポリ袋を二重にして便座にかぶせ,中に猫砂をカップですくって入れておけば簡易トイレの出来上がりです.
猫砂の量はポリ袋が破れない程度にしましょう.ポリ袋が破れて猫砂が便器に落ちると排水管の詰まりを招きかねません.
B.凝固剤
簡易トイレ用凝固剤が市販されています.
たぶん猫砂のほうが安いと思いますが, 猫砂はなにしろかさばります.備蓄スペースによってはこちらのほうがいいかもしれません.
c.新聞紙
新聞紙を何枚か便座に敷いた上に,短冊状に切った新聞紙(昔,ハムスター飼ってたときよくケージに入れてました)をくしゃくしゃにして排泄物を吸わせる方法もあります.ただし消臭効果はありません.
なお,言うまでもありませんが,トイレットペーパーとポリ袋の備蓄をお忘れ無きよう.
他にも凝固剤として代用できるものはあるかもしれません.むろん,利用できる土地があるなら地面に穴を掘って足場を組み,用を足したら埋めていくなどすればいいかもしれません.各種簡易トイレについては避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインを参照ください.
おわりに
東日本大震災のとき,仮設トイレが設置されるまでの最長日数は65日という自治体がありました.
(出典:避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン)
早くて3日という自治体もありましたが,いずれにしても数日間は自助・共助でトイレのやりくりをしなければ衛生上非常に問題になることは火を見るより明らかです.
冒頭で述べましたが,震災時には普段利用している生活インフラが使えなくなります.9月1日の防災の日を契機に,今から考えて備えて置くにこしたことはありません.
願わくば,このエントリーが役立つ日がきませんように.
ではまた!